今回は、異臭問題の対策について論議します。
前述の通り、プラスチックの劣化は「加水分解」という
化学反応によって起きます。
加水分解というのは、水と反応してプラスチックが
分解してしまう現象です。
その反応過程において、酢酸を含むガスが発生して
これが悪臭の原因である、というわけです。
では、加水分解を防止する方法はないのでしょうか?
残念ながら、完全に加水分解を防止する方法はありません。
現実的には、ルアーが作られた瞬間から加水分解は
始まっており、未使用の段階でも劣化は進みます。
実際には、釣りに使用して水に濡らした上に、
タックルボックスの中に格納されるわけですから
加水分解の反応はさらに加速します。
一般的には、湿度が高ければ高いほど、
温度が高ければ高いほど、劣化は進みます。
従って、なるべく低温、低湿度の環境で保管するのが
いいと言えるでしょう。
そしてもうひとつ大事なのが、風通しです。
発生した酢酸ガスは、それ自体が加水分解を促進する
触媒的な役割を果たすことがわかっていますので
適度な換気をすることが重要になってきます。
<対策方法のまとめ>
- 未使用でも加水分解は起こるので対策が必要
- 水分を含んだまま放置しない、収納しない
- 高温多湿な保管環境を避ける
- 風通しに気を付ける
<さらに効果の高い対策>
楽器やカメラなどを保管するための
防湿庫(デシケーター)というものがあります。
さすがにルアーでそこまでやっている人は
いないと思いますが、貴重なヘドンであれば
20年後の価値を見越して、これを導入するのも
ひとつの手かもしれません。